治験のスクリーニング期間とは?投与期間と追跡調査期間は何を行うの?

CRC

 

治験は、スクリーニング期間、投与期間、追跡調査期間の3つの期間に分かれています。

具体的に何を実施するのか、それぞれの期間によって違いがあります。

そこで今回は、3つの期間についての違いをご紹介します。

 

スクリーニング期間とは?

 

スクリーニング期間とは、同意取得後から治験が開始されるまでの期間になります。

血液検査や尿検査、画像検査、心電図検査など治験に登録するために必要な検査等を行ってもらい、治験に参加が出来るかどうかの検査を行います。

そこで適格性に入っていれば、治験に登録となります。

担当の医師から、候補患者さんの連絡が来るため、前もって準備しておくことが大切ですね。

同意書、補償に関する説明書、治験参加カードなど、患者さんに渡すものは一つのファイルに入れておくなど、自分ですぐに探すことができます。

複数の治験を担当していると、色々な書類が発生するため、きちんと整理しておくことが大切です。

 

スクリーニングアウトとは?

 

スクリーニングの期間中、採血や心電図検査、画像検査(CT、MRI)など、様々な検査を行って、適格性を確認します。

そこで適格基準に当てはまらない場合、除外基準に当てはまる場合などは、治験に登録することができなくなります。

このスクリーニング期間に脱落してしまうことをスクリーニングアウトといいます。

同意説明後にこうしたことも、可能性は低いですが起こることがあります。

例えば肝機能をみる酵素が基準値よりも高い場合、腎機能の指標となるクレアチニンクリアランスの値が基準に満たない場合、心電図検査で異常があった場合、CTやMRI検査で異常な所見が見つかった場合などがあります。

 

同意説明時に気を付けることは?

 

同意説明とは、治験の参加の意思を確認し、同意書に署名してもらうことをいいます。

CRCが患者さんに直接説明して、治験に同意するかどうかを決めてもらいます。

あくまでCRCは補助説明になるので、医師からの説明を受けたという本人の署名と、説明した医師の署名も必要となります。

数十ページにわたり、治験や治験薬の説明、副作用について、費用や補償、個人情報の保護などが記されているため、重要な部分や要点を分かりやすく伝える必要があります。

疑問点はその場で解決していくと、患者さんとの信頼関係を築くことができますね。

副作用情報や治験薬について、情報は日々変わっていくため、その度に同意説明文書の改訂が行われます。

治験倫理審査委員会(IRB)で承認されると、すぐに患者さんに新しい同意説明文書に同意してもらう必要があります。

これを再同意といいます。

版数が古いものは、改訂された時点で破棄することで、古い同意説明文書で同意を取ってしまったという逸脱を防ぐことができます。

 

投与期間とは?

 

その名の通り、治験薬を投与する期間のことをいいます。

この期間に症例報告書(CRF)の入力や既定の来院日に必要な検査の実施、有害事象(AE)の確認、併用薬の確認、治験分担医師(治験業務を行う医師)や治験協力者(治験業務を行う臨床研究コーディネーター)の更新などを行います。

14日に1回の来院や28日ごとに1回の来院など、サイクル数は治験によって違う為、来院の頻度も変わっていきます。

治験薬を投与する前には必ず医師の診察があり、その日に投与しても良いか、体調の確認や有害事象(AE)はないか、検査値に異常は無いかを判断します。

そこで実施確定がされると、治験薬投与が開始されます。

治験薬には毒性ガイドラインというものがあり、有害事象(AE)の種類によっては安全上治験薬を投与してはいけないという決まりがあります。

それを見逃したり確認せずに治験薬を投与してしまうと、重大な事故につながる恐れがあります。

そのため、実施確定は慎重に行う必要があります。

 

追跡調査期間とは?

 

追跡調査期間とは、治験が何かしらの理由で中止した後や、既定の治験薬投与の期間が終了した場合、定期的に体調確認を行う期間のことをいいます。

治験薬の投与が終了した場合でも、その後に体調がすぐれなかったり、入院したりする場合があります。

治験薬と直接の因果関係は無くても、全て知り得た情報は記録として残しておく必要があります。

追跡調査期間も治験によっては定期的に来院し、場合によっては検査を受けることもあります。

また、電話での体調確認や、質問票への回答など、内容は様々です。

 

まとめ

 

スクリーニング期間は、治験に登録するための検査を行う期間であり、そこで治験に登録できるかどうかが判断されます。

場合によっては脱落することもあり、スクリーニングアウトといいます。

もしも登録後に不適格だった、ということがあれば、倫理上や安全上の大きな問題となってしまうため、検査はしっかりと行い、見落としが無いように努めることが大切です。

治験薬の投与期間中は、常に患者さんの状態に目を配る必要があります。

実施確定されるまでの間に、体調確認に問題はないか、検査値に異常は無いか、見極めることも大切ですね。

追跡調査期間中も、新たに有害事象(AE)は起きていないか、体調に変化はないかなど、聴取する必要があります。

治験を安全かつルールに沿って行う為に、それぞれの期間に果たすべき役割を理解して行うことが重要です。



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