臨床研究コーディネーター(CRC)の1日のスケジュールは?どのような職種や部門と関わりがあるの?

CRC

 

CRCとして働き始めて2年が過ぎましたが、働く前は具体的に何をするのかが想像できないところもありました。

1日の仕事の流れは大体決まっているので、CRCの仕事に興味のある方は参考にしていただければと思います。

日々の業務により変動はありますが、慣れてくるとスケジュール調整も可能となります。

流れを知ることで仕事の内容も想像がつきやすくなりますね。

今回は、CRCの1日のスケジュールと具体的な仕事内容、どのような職種の人と関わりがあるのかもご紹介します。

 

臨床研究コーディネーター(CRC)の1日のスケジュールは?

 

下記が、私の現在の1日のスケジュールです。

 

9:00~

 

出勤後、メールのチェックを行います。

この日に投与のある患者さんのバイタルや血液検査の結果を、電子カルテで確認します。

 

10:00~

 

来院された患者さんに体調確認と有害事象の状況や現在服用しているお薬の確認、次回の来院スケジュール確認を行います。

そこで状況の変化があればカルテに追記や修正を行います。

診察開始となったら、担当医師と患者さんの診察に同席します。

ここで検査の結果と体調確認を行い、治験薬の投与が可能かどうか担当医師の判断で実施確定します。

その後、担当医師に直接カルテ追記の依頼や次回の予約の確認を行います。

 

11:00~

 

患者さんの治験薬投与開始時、治験薬の処方を電子システム上で行います。

処方が完了したら薬剤師に連絡し、治験薬の調整開始となります。

その後はカルテに漏れがないかチェックし、次回のスケジュールのファイリングなどを行います。

 

12:00~

 

お昼休憩後、EDC(治験データの電子管理システム)に治験データを入力したり、メールのチェックを行います。

 

13:00~

 

次回の来院時に採取する血液検査の検査キットの準備を行います。

複数の試験を持っていると、日付のミスやキットが漏れてしまうこともあるので、必ずダブルチェックを行っています。

 

14:00~

 

書類の整理や署名が必要な書類を院内便などで送ります。

電子システムでCT画像の送信や、EDCのクエリ対応を行います。

 

15:00~

 

患者さんの投与が終了したことを確認し、ワークシート(投与の記録が書かれた用紙)のチェックとカルテで来院実績の完了をします。

 

16:00~

 

検査キットの在庫管理を行います。期限が切れているキットはないか、在庫数が不足しているキットはないかなどの確認を行います。

 

17:30~

 

勤務終了です。

以上が大まかな1日の流れになります。

患者さんの対応については、1人ではなく日によっては複数の場合もあるので、時間が前後することもあります。

また会議やミーティング、打ち合わせが入る場合もありますね。

 

どのような職種や部門と関わりがあるの?

 

CRCは決められたルールに沿って治験を行う必要があり、そのためには他職種や他部門との関わりが重要になります。

協力し合うことで信頼関係を築き、治験をスムーズに進めることが大切ですね。

主に治験に関わる職種は、以下になります。

 

医師

 

治験には治験全体を監督する役目の責任医師(PI)、その責任医師の業務を分担する分担医師(SI)がいます。

治験に係る重要な業務をする役目があり、その中で患者さんの担当医となります。

担当医とは診察時にカルテ作成や治験薬投与の実施確定、有害事象の有無など関わる内容も多いです。

 

看護師

 

治験薬を投与する際や診察時の状況確認など、看護師との関わりは重要です。

特に患者さんの入院時は、投与ワークシートといって何時に採血、心電図検査、薬の服用時間などを記入してもらう必要があります。

細かなスケジュールによって行われるため、協力し合うことは必須です。

初回の投与の際は病棟の看護師全員に申し送りをして、疑問点などをその場で説明することもあります。

 

薬剤師

 

治験薬の準備や投与に必要な薬剤の調整は薬剤師が行います。

また、治験の担当の薬剤師に、治験薬や投与する薬剤の投与量や投与速度、投与時間を示した計画書を作成してもらいます。

この計画書通りに治験薬が投与されるため、とても重要な計画書になります。

さらに体重の変動によって投与量が変わる治験薬もある為、計画書の説明と細かな打ち合わせを一緒に行う必要があります。

 

臨床検査技師

 

患者さんは決められたスケジュールに沿って血液検査や尿検査、心電図検査を行います。

そのため検査技師が採血検体を遠心して上清や全血を分注したり、検体保存するなどの作業を行います。

治験によって行程が細かく決められており、誤った行程になってしまうと結果に影響が出てしまう為、検査技師がより作業しやすくするために検査処理手順書を作成する必要があります。

そこに遠心条件や保存温度、保存方法を詳しく記載した後、打ち合わせなども行います。

治験用の採血は量が不足していたり、溶血検体が混じってしまう可能性もあるので、検体について聞かれることも多くあります。

そのためいつでも連携が取れるようにしておくことが大切ですね。

 

臨床開発モニター(CRA)

 

CRAは治験が決められたルールに沿って実施されているか確認する仕事です。

治験ごとに製薬会社から担当者が決まっており、治験実施計画書(プロトコル)に沿って治験が実施されているか、症例報告書(CRF)と電子カルテの記録が合っているかなどを確認します。

そのため、治験開始前の準備の段階から密に連絡を取りあうことも多く、二人三脚で進めているといっても良いくらい、関わりは深いです。

CRFのクエリ(問い合わせ)の対応、検査キットの期限などのアナウンスなど、逸脱が起きないようにダブルチェックしているというと分かりやすいですね。

 

検査会社

 

治験では血液検体や病理組織検体など、測定や解析を行うために検査センターに送付を依頼します。

そこで検査会社の担当者が検体の回収をして、検体に間違いがないか、依頼書と伝票の記載が合っているかなどのCRCとのダブルチェックを行います。

回収は一度に複数の検査会社が訪れることも多く、待たせしてしまわないよう気を配ることも大切です。

一度送られた後もクエリ(問い合わせ)などが発生した場合は、順次対応することもあります。

 

医事科

 

治験には、治験によって発生する検査費用や画像費用など、治験実施期間中は依頼者が負担する保険外併用療養費制度があり、どこまで負担が可能かは試験によって違います。

そのため医事課との事前の打ち合わせが必要になります。

 

事務局

 

治験には多くの書類があり、その取りまとめを事務局が行っています。

試験を開始するために必要な資料や、治験審査委員会に提出する資料に不備はないかなどの確認が行われます。

治験の運用が始まった後も、PIやSI、治験協力者の変更がある場合や重大な逸脱(SAE)の報告書など、多くの資料があります。

 

秘書

 

治験には医師やCRCの登録や削除があった際や、医師の治験に関するトレーニング、治験業務の役割に関する書類などが多く発生します。

そのため署名や印鑑をいただくことも多く、ひとりではこなしきれない為、各診療科の担当の秘書さんにお願いすることになります。

期限内に全員分の署名が必要という場合もある為、お願いする際は期日と内容を正確に伝える必要がありますね。

 

まとめ

 

以上が一日のスケジュールの主な流れになります。

患者さんの数や来院によっても違いますが、急な呼び出しや対応など、予定通りに行かないことも多々あります。

また、CRCは多くの職種の人と関わります。

円滑に効率よく業務を行う為に、他職種との連携は重要ですね。

CRCの仕事に興味を持った方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。



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